1990年代
多様な保育要求に応えて
少子化時代の到来
「1.57ショック」という少子化が社会問題になり、国の施策としても、少子化を解消するためには「仕事と子育ての両立支援」の認識に転換せざるを得ない事態になりました。まさに私たちが主張してきたことが立証されることとなりました。小規模連の乳児保育は全国的にも影響を与えるほどのものになってきており、『赤ちゃんの12月』を発行しテキストとして活用されました。
生きる力と本当のかしこさを求めて
1991年には年齢別にやっていた実践交流会を見直し、乳児・幼児に分けテーマ別交流にする事になりました。「子どものおかしさ」「親の生活変化」がとりわけ大きな問題になってきていました。
社会的背景を見ても「競争社会」「受験体制」における価値観や労働時間の多様化など様々な要因から人との関わりが希薄になっており、「育児不安」「児童虐待」という言葉が大人たちの孤立を物語っていました。これらの状況の中で、これまで以上に人との関わりが重視されていました。「個」と「集団」の相互の育ちについてもっと明らかにしていきたい、「かしこさ」を育てる保育とは何か?と追求してくる中で、「人との関わり」「言語・認識」がテーマとなりました。1995年5月に『仲間の中で育ちあう5歳児保育』に5年間のまとめをしました。その後の3.4歳児の保育についても冊子にしてまとめました。
保育は福祉を再確認
親の生活の様変わりをどう受け止め働きかけ、共に子育てしていくのかや「親の実態や社会的背景」「家族」問題を共通認識にするための学習会や講座を行ってきました。
多様な保育要求に応えた、夜間・延長保育、一時保育、子育て支援、休日保育、途中入所などの新規事業を、小規模連も積極的に実施していきました。実施に当たっては、そのたびに様々な考え方がぶつかり合っては意見調整し、実施しながら意義を確認し合ってきました。
その実践から学ぶ中で視野が広がり、父母の思いにどうこたえるかという見方も広がっていきました。目の前の保育ニーズから出発して様々事業拡大していくスタイルは、共保の頃から変わりません。その実践から学ぶ中で、より「保育は福祉」という視点に立てるようになっていきました。